「奥居香」から「岸谷香」へ、ダイアリー&エッセイ集…岸谷家の子育て 1826日(の一部)

岸谷家の子育て 1826日

岸谷香 プロフィル

岸谷香スペシャル・メッセージ
『岸谷家の子育て1826日(の一部)』のこと

現在の私の本当の姿です

今回の本に載っている原稿を、もともと自分のホームページに書き始めた時は「子育て日記」にするつもりはなかったんです。それこそレコーディングのこととか、自分がその時に興味を持っていたことを書いていたんですけど、最初の子どもの妊娠がわかってから、もう私の生活の100%、いや120%が子どものことになってしまったんですよね。人生全部が子どものことを考えているような状態になって……結果的に、書き下ろしの原稿を含めて『岸谷家の子育て1826日(の一部)』というタイトルの本になりました。まあ、要するに子育てのことを書くことが、現在の私の本当の姿をお伝えすることになるんだと思います。

これから子育てを経験する人に……

子育てをしている間、ずっと色々な人に聞いてみたいと思っていたことが、私自身もたくさんあって。例えば、自分の子どもに何か変化があった時、他のママちゃん達はどう対処しているのか、とか、不安を抱えている時にどんな風に解決しているんだろうか、とか。最初の子どもの時は、特に全部が初めての経験だし、自分のやり方しか知らないから、つい異常なんじゃないかなと考えてしまうんですよね。じゃあ、何が普通なのかっていわれると絵に描いたような理想のかたちは思い浮かぶけど、やっぱり現実とは違うなと思うし。そんな時に自分も先輩ママちゃんに話を聞いてもらって、聞かせてもらって、「はぁー、よかった!」みたいなことが多かったんです。だから、まあ、エラそうにいえば、自分の体験を書くことによって、これから子育てをするような人にも少しでも参考になれば……という気持ちはあったかもしれません。
 子育てって、人間性が剥き出しになるんですよ。ちょっとカッコつけて書いたりしても本質がバレバレというか(笑)。きっと、この本を読んで「なんだ?、このオンナは」と思う人はいるんでしょうが、こればっかりは真実なので、しょうがないと思います(笑)。

誰もが最初から「お母さん」じゃない

今改めて、子どもを育ててきた5年間を振り返ると、毎日「ママ、ママ!」って言われているような状況が、不思議だなぁと思う部分もありますね。プリンセス・プリンセス時代などは、自分がいつもいちばん年下で、勝手気ままに好きなことをやらせていただいている立場だったのに、今や家では逆の立場だから。「幼稚園が何時からだから、5分前に出ますよー」とか、子どもたちのマネージャー気分ですよ(笑)。市やん(プリンセス時代、現在を含めてのマネージャー)の気持ち、わかるよー!! みたいな感じ。昔、自分が親になったときのことを想像していた感じと、ずいぶん違う気がします。きっと、ポコッて子どもを生んだ瞬間から「お母さん」になるわけじゃないんですよ。なにも育児についてできないところから、ひとつずつ子どもに教えてもらって、「子ども」と「お母さん」という関係になるんでしょうね。オシメを替えながら、色々と考えているうちにね。

ミュージシャン人生は続いていく……

これからもミュージシャンとしての人生は続いていくわけですけど、音楽に向かう姿勢も、子どもが生まれたことで変わってきました。メロディがどう変わったとか、サウンド的なことはわかりませんが、歌詞を書くテーマは間違いなく変化しましたね。自分の中に確実なものがあるから、昔は実感できなかった未来のこととか、平和だとか、愛情についてとか、照れずに表現できるようになった気がします。
それと以前はなにかと全部自分でやらなければ気がすまなかったのが、人に任せられるようになりました。他人に任せるということは、相手を信頼するということで、自分は自分でちゃんと思うところを表現しておけば大丈夫だって考えられるようになったんです。これに命賭けてます! って態勢で張り切って臨むと、失敗するタイプの人って結構多いじゃないですか。私は典型的なそういう人間だったので(笑)。今回、本と同時にリリースしたアルバム『RING TO THE HEAVENS』のレコーディングでも、とにかくいい作品にしなくちゃいけない……というプレッシャーから解放されて、「自分が思ったことを表現すればいいんだ」くらいの楽な気持ちでできましたね。終った後、逆に「もっと音楽できるなぁ」と思ったぐらいで。もちろん、8年振りのアルバムだったので、最初は「えーっ、できるのかなぁ?」と不安もありましたけど、終ってみれば希望的な感触だけが残りました。
だから、私にとって、子どもがいるということは、いいことばっかりなのかもしれないですね。

「岸谷家の本」じゃないけれど……

タイトルを『岸谷家の子育て1826日(の一部)』とした以上、私はまったくそう思っていなくても、ある意味「岸谷家の本」と捉えられるんでしょうね。一応、本ができてすぐにゴローくん(注:夫の岸谷五朗氏)に「申し訳ございません! こういうことになりましたので……」と報告しました(笑)。でも、ちょっと内容を褒めるようなこともいってくれたので、ま、大丈夫だなと。だけど、よく読むと時々カチンとくる文章があるんじゃないでしょうか(笑)。
子どもたちについては、将来大きくなって、この本を読んだ時に「ああ、ママは、一生懸命だったんだな」と思ってくれるとうれしいですね。特に娘には、将来子どもができた時に読ませてあげたいなと思って。「真面目にあなたたちと向き合ってましたよ」ということは伝わるかなと思います。その時、私は元気なのか、病気がちなのか、どんな状態なのかわからないですが、子ども達は「しまった! もっと優しくしておけばよかった」と絶対思うんじゃないでしょうか(笑)。私が今、親に対してそう思っているように。はい、ぜひ、子ども達にも読ませたいですね。(談)


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